海運の、より環境にやさしい低排出の未来に向けて!
世界の海運業界が化石燃料消費量の削減やCO2、NOX、SOX排出量の削減に取り組む中で、風や太陽の力を利用した環境にやさしい船や、エコシップなどの船舶は、今後数十年の間に重要な役割を果たすことになるでしょう。
エコマリンパワー社 (EMP)は、この課題を解決するソリューションを開発する最前線の企業であり、海運業界をより環境にやさしいものにするための研究・デザイン関連のプロジェクトを数多く手がけています。私たちは、再生可能エネルギー技術を利用して化石燃料の消費量を削減し、大気汚染や温室効果ガス(GHG)の排出量を削減することに重点を置いています。
エコマリンパワー研究所は、多岐にわたる研究プロジェクトや研究拠点を結びつけ、知識やリソースを共有できるようにしたバーチャルな研究所です。また、再生可能エネルギーや環境にやさしい海運関連の技術に取り組んでいる他の企業との研究も行っています。このページに掲載されている研究プロジェクトや分野はすべてエコマリンパワー研究所の中に組み込まれています。
EMP研究所の活動に関する最新情報は、以下のサイトでもご覧いただけます。
現在、EMP研究所と連携している企業には、古河電池株式会社、株式会社寺本鉄工所、株式会社ケーイーアイシステムなどがあります。
EMP研究所が調査したテーマと研究分野には、以下のようなものがあります。
- 太陽光発電(PV)パネル技術を含む船舶用ソーラーパワーシステムの研
- 船舶および海洋構造物の周囲の気流
- 船舶ベースの自動化・制御・監視システム
- 自律型無人船
- 燃料電池を含むエネルギー貯蔵技術
- 硬帆およびセミ硬帆装置
- 再生可能エネルギーとエネルギー効率の高い装置の旅客フェリーを含む小型船舶での利用。
- 船舶と船主のためのエネルギー移行オプション
- エネルギー効率を向上させるための費用対効果の高い設備改修
Aquarius イノベーションラボ
持続可能な海運技術の開発に特化した研究開発施設
当社の研究開発は、福岡のデザイン事務所や大阪のAquarius イノベーションラボなど多くの拠点で行われています。
Aquarius イノベーションラボは、燃料消費量や有害ガス排出量を削減し、風力や太陽、船舶用再生可能エネルギーのクリーンで無限のエネルギーを利用する技術の試験と開発に焦点を当てた施設です。
現在ラボで進行中のプロジェクトでは、風力発電ソリューションの試験、バッテリー管理ソフトウェアの開発、船舶用ソーラーパネルの評価、Aquarius MAS の追加機能の試験などを行っています。
Aquarius MAS ラボは、技術研修や製品精通コースにも使用されています。
尾道MTTC(Marine-Tech Test Center)
海洋と船舶技術に特化した試験および技術革新施設
尾道MTTC寺本鉄工所 は、尾道の寺本鉄工所 者原工場にあります。
センターには大型の屋外評価エリアがあり、EMP 社のEnergySail などの革新的な装置をテストすることができます。
その他にも、船舶用再生可能エネルギー技術の評価が行われており、その中には Aquariusマリンソーラーパワーソリューションも含まれています。また、TM-600ジャッキアップリグもセンターに設置されています。
古河電池株式会社や株式会社ケーイーアイシステムなどの数社が尾道MTTCで活動しています。
「Aquarius」プロジェクト
海運用の再生可能エネルギーソリューションを開発する革新的なプロジェクト
2010年半ば、外航船に搭載する風力や太陽エネルギーを利用した商用システムの開発プロジェクトが日本で開始されました。このプロジェクトは「Aquarius」と名付けられ、製品開発には各国の様々EnergySail アレイ搭載の Aquarius エコシップ CFD調査 な企業や専門家が携わっています。このプロジェクトの主な焦点は、Aquarius MRE(Marine Renewable Energy=船舶用再生可能エネルギー)の開発です。
Aquarius MRE (特許取得済)は、風力や太陽エネルギーを利用して燃料消費量を削減し、有害ガスの排出量を削減することを可能にします。さらに、船主や運航業者は、船のカーボンフットプリントを削減し、様々な船舶にこのシステムを採用することができます。
Aquarius MRE は、乗務員の注意をほとんど必要としないように設計されており、比較的簡単に設置でき、船会社にとって魅力的なROI(費用対効果)を提供します。システムには、EMP社のEnergySail 技術、データログ、制御および監視コンピュータシステム(Aquarius MAS)、マリングレードのソーラーパネル、エネルギー貯蔵モジュールが組み込まれています。現在、システムのプロトタイプ版を試験中です。
詳細については、Aquarius MRE ページをご覧ください。
MV Panamana船 - Aquarius MAS & 船舶用ソーラーパワー・プロジェクト
FCR-50-12バッテリーパックを搭載したソーラーパワー設備キットの設置と評価
この革新的なプロジェクトでは、燃料消費量監視システム(Aquarius MAS)の設置と統合、そしてキットとして納入された船舶用ソーラーパワーシステムの設置が行われました。MV Panamana 船 は 54,694 トン (MT) のオープンハッチの一般貨物/コンテナ船で、70 MT のガントリークレーンを 2 基搭載しています。本船は シンガポールの Masterbulk Pte. Ltd. が所有し、日本の大島造船が建造しました。
これまでに船に設置された機器には、船級承認されたハイブリッド・バッテリーパック、バッテリー充電装置、特殊な設置フレーム付きのマリングレード・フレキシブル太陽光発電(PV)パネル、コンピュータ管理・自動化システム(Aquarius MAS)が含まれています。特に注目すべき点は、このプロジェクトではシステム一式が設置キットとして送られたことで、乗務員は専門的なツールを必要とせずに、主にオンラインまたは電子メールによる技術サポートによって機器を設置することができました。設置中の技術サポートは、Zeaborn Ship Management 社(シンガポール)とエコマリンパワー社が遠隔で行いました。
Aquarius MAS は、様々な船舶に適した費用対効果の高い燃料油消費量(FOC)の監視、アラーム処理、およびデータロログのプラットフォームです。Aquarius MAS は、リアルタイムで燃料消費量を報告および記録、消費量日報の作成、船の排出量(CO2、SOx)の計算をします。また、再生可能エネルギーシステムの監視と管理も可能で、MV Panamana 船ではEMP社の Aquarius 船舶用ソーラーパワーソリューションと統合されています。MV Panamana 船に搭載されたシステムの統合は、硬帆とソーラーパワーシステムによってゼロ排出の電力を船舶に供給する、EMP社が特許を取得した Aquarius MRE(船舶用再生可能エネルギー)ソリューションの導入に向けた重要な一歩となります。
Aquarius エコシップ
様々な燃料節減技術を取り入れた未来のシップデザインの低排気ビジョン
エコマリンパワー社の Aquarius エコシップ Aquarius エコシップはEMP社の Aquarius MRE や EnergySail の技術と、空気潤滑などの他の燃料節減・排出削減技術を組み合わせた革新的なデザインコンセプトで、ばら積み貨物船、オイルタンカー、貨物船、RoRo船、旅客フェリー、調査船などの船舶向けの統合ソリューションです。
EMP社とケーイーアイシステム社が開発したコンピュータ制御・管理システムなどの技術を組み合わせることで、船舶の種類や航路にもよりますが、年間約40%の燃料節減が期待でき、船舶からの粒子状物質を含む有害ガスや温室効果ガスの排出量を大幅に削減することができます。
Aquarius エコシップは、よりクリーンで低排出の会場輸送への道です。
詳細については Aquarius エコシップ のページをご覧下さい。
とんぼソーラーハイブリッドフェリー & めだかエコ通勤フェリー
持続可能な都市のための低排出水輸送ソリューション
「とんぼ」の設計プロジェクトは、最新のソーラーパネル、電力管理、バッテリー技術を用いて、最新のハイブリッド・マリンパワー(HMP)システムを導入することを目指しています。また、本船には Aquarius MAS(Management & Automation System=管理・自動化システム)が搭載されます。とんぼハイブリッドフェリー
「とんぼ」は、河川や湾、湖での運航に適しており、太陽光発電だけで低速航行が可能です。
「とんぼ」についての詳細は、とんぼソーラーハイブリッドフェリー のページをご覧ください。
「めだか」は、都市水路向けに開発されたエコソーラーフェリーであり、費用対効果が高く排出ガスのない運航ができる通勤船を目指しています。
本研究プロジェクトは2011年に開始されました。
「めだか」の詳細については めだかエコフェリー のページをご覧ください。
Aquarius 無人水上船 (USV)
複数のミッションに対応した再生可能エネルギー搭載のUSV
エコマリンパワー社の Aquarius 無人水上船エコマリンパワー社は、現在、「Aquarius MREシステム」の技術を無人水上船(USV)のコンセプトに適用する取り組みを行っています。
Aquarius USV は、様々な再生可能エネルギー技術を利用して、船舶がより長く海上に滞在したり、必要に応じてステルスモードで運用したりすることを可能にします。
デザインのバリエーションには、EMP社の EnergySail 技術も含まれます。
この無人船の代表的な任務や役割には、海洋調査、港湾パトロール、海洋公園の監視、都市水路の清掃などがあります。
この革新的な船の詳細は Aquarius USV のページをご覧ください。
Blue Star Delos 再生可能エネルギー革新プロジェクト
再生可能エネルギーシステムと燃料節約技術の評価
Blue Star Delos 再生可能エネルギー革新プロジェクトは、船上で再生可能エネルギーと燃料削減ソリューションを使用することで、海運をより持続可能なものにするための大きな一歩です。
このプロジェクトでは、エコマリンパワー社(EMP)とその戦略的パートナーが開発した革新的なソリューションの数々を、Atticaグループの一員であるアテネの船会社 Blue Star Ferries 社が所有および運営する近代的な高速旅客&カーフェリー「Blue Star Delos」船の船上で段階的に評価しています。Blue Star Delos の Aquarius MAS + ソーラーパワー
プロジェクトの初期段階では、世界で初めて船上で、フレキシブルで軽量なマリングレードのパネルを Aquarius MAS と統合し、太陽光発電アレイのリアルタイム性能監視が実施されました。
また、Aquarius MAS を使って本船の燃料消費量を記録し、排出量データを算出しました。
Blue Star Delos 船には現在、Aquarius MAS + マリンソーラーパワーの試験と評価構成が搭載されています。これには、KEI 3240 CPU/AGU、ILSハードウェア、燃料消費量監視および出量計算ソフトウェア、MPPTチャージコントローラー、船級承認された船舶用バッテリーパック、マリングレードのソーラーパネルが含まれています。
システムの評価は、Blue Star Ferries 社の技術チームがエコマリンパワー社と協力して行っており、Blue Star Delos 再生可能エネルギー革新プロジェクトの一環として、さらなる研究開発活動が計画されています。
Blue Star Ferries 社とエコマリンパワー社のほか、Triad Ltd 社(ギリシャ)、古河電池株式会社(日本)、株式会社ケーイーアイシステム(日本)、株式会社寺本鉄工所(日本)がプロジェクトに参加しています。
Blue Star Ferries 社とギリシャでの運行ルートに関しては Blue Star Ferries のホームページをご覧ください。
また、Delos 船での試験に関連した研究論文も発表されており、こちらからアクセスすることができます。
Analysis of marine solar power trials on Blue Star Delos - Journal of Marine Engineering & Technology. Volume 15, 2016 - Issue 3
※ Aquarius MRE, EnergySail, Aquarius Eco Ship, Aquarius MAS & Aquarius USV はエコマリンパワー社の商標です。